本記事では、年代別の入れ歯使用割合を調べました。厚生労働省が実施する歯科疾患実態調査のデータをもとに、入れ歯の装着割合を20代から80代まで、年代別にまとめています。
入れ歯の種類
歯科疾患実態調査では、部分床義歯と全部床義歯に分けて装着割合が調べられています。まずは、それらの違いを説明します。
部分入れ歯(部分床義歯)
部分入れ歯は、一部の歯を失った場合に適応される義歯です。歯を失った状態を「欠損」といいますが、部分入れ歯は1歯欠損から13歯欠損まで、幅広いシーンで使用されます。
総入れ歯(総義歯)
総入れ歯は、全ての歯を失った場合に使用する義歯です。上顎または下顎の全体を覆う形で作られ、口腔内の粘膜の形状に合わせて設計されます。部分入れ歯とは異なり、14歯欠損の場合のみに利用される入れ歯です。

いきなり総入れ歯になることは少なく、長い年月をかけて部分入れ歯から総入れ歯に移行します。
統計から見る年代別入れ歯装着割合
日本では高齢化が進む一方で、入れ歯をする年齢層には幅があります。
歯科疾患実態調査から得られる統計データは、入れ歯装着者の年代別割合を理解する上で非常に参考になります。このデータをもとに、各年代の装着傾向について詳しく見ていきましょう。
歯科疾患実態調査とは
歯科疾患実態調査は、全国から抽出された国民を対象とした厚生労働省による調査統計で、5年毎に実施されています。最新のデータは令和4年のものです。歯科疾患実態調査から得られた口腔に関する情報は、口の健康に関する政策の評価や、さまざまな政策などの基礎資料として広く活用されています。
本記事では令和4年歯科疾患実態調査のデータをもとに執筆しています。統計データによると、入れ歯は何歳から装着するのが普通なのでしょうか?
20代の入れ歯装着割合
20代で入れ歯を使用している人の割合は、統計データ上はゼロとなっています。20代で入れ歯を装着している人がいないというわけではありませんが、統計データ上に現れないくらい割合が低いのが特徴です。
一般的に、この年代では健康な天然歯が多く残っており、入れ歯を必要とするケースは特殊な事情がある場合に限られます。
20代で歯を失った場合の治療法については下記の記事でまとめています。
30代の入れ歯装着割合
30代になると、入れ歯を装着する人が統計上でも現れてきます。30代では、部分入れ歯の装着割合は0.6%、総入れ歯の装着割合は0%となっています。
30代で歯を失った場合の治療法について、下記の記事でまとめています。


40代の入れ歯装着割合
40代では、入れ歯の装着割合が微増します。さらに総入れ歯を装着する人も現れてきます。40代の部分入れ歯の装着割合は0.4%、総入れ歯の装着割合は0.8%です。
40代で歯を失った場合の治療法について、下記の記事でまとめています。


50代の入れ歯装着割合
50代になると、部分入れ歯の装着割合が大幅に増加します。50代の部分入れ歯の装着割合は6.8%、総入れ歯の装着割合は0.7%になります。
50代で歯を失った場合の治療法について、下記の記事でまとめています。


60代の入れ歯装着割合
60代の特徴は、入れ歯の装着率の急増です。50代と比較して、部分入れ歯で約3倍、総入れ歯で約4倍も装着者が増加しています。60代の部分入れ歯の装着割合は17.4%、総入れ歯の装着割合は3.0%です。
60代で歯を失った場合の治療法について、下記の記事でまとめています。


70代の入れ歯装着割合
70代では、入れ歯の使用が珍しくなくなります。70代の部分入れ歯の装着割合は34.8%、総入れ歯の装着割合は13.1%になります。
80代以上の入れ歯装着割合
80代以上では、入れ歯の使用が一般的になります。80代以上の部分入れ歯の装着割合は 46.3%、総入れ歯の装着割合は32.4%になります。
年代別入れ歯装着割合の比較


50代までは微増傾向ですが、入れ歯の使用割合は1割未満です。60代から特に入れ歯の使用割合は増加します。80代以上ではより入れ歯は一般的になります。
まとめ
入れ歯の装着する年代は人により異なるため、「何歳からが普通か」という議論は難しいです。例えば、ほぼ過半数が入れ歯を装着している70代以降では、入れ歯は普通に行われている治療と言うことができるのではないでしょうか?